算数・数学における意味構成のコンテクストに関する研究-分数指導を中心に-
Project/Area Number |
08710179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松下 佳代 京都大学, 教育学部, 助手 (30222300)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 意味構成 / コンテクスト / 分数 / 算数・数学教育 |
Research Abstract |
本研究では、主にY.Engestromの「活動システムのモデル」に依拠しながら、意味構成のコンテクストについての枠組みを提示し、それにもとづいて従来の分数指導の批判的検討を行った。具体的な成果は以下の通りである。 1.授業における意味構成とは、子どもが生活史の中で共同体から付与されるミ-ニングをもとに作り上げてきた自分なりのセンスを、授業の場で表出し合い、他者や対象世界との対話を通じて共有しうる新たなミ-ニングを構成し、さらにそれを取り込んで自分のセンスを豊富化していくことである。 2.主体・道具・対象・共同体・仕事の分割・ルールという6つの構成要素とその相互関係からなる「活動システムのモデル」は、コンテクストの重層性をふまえた学校学習の分析を可能にするとともに、意味構成については、それが同時に関係の構成でもあるという意味構成の再定義をもたらす。 3.分数に関するつまずき調査の分析、分数の発生史についての研究、日常生活における分数使用のエピソードの分析から、分数の日常的直観的知識は「分割量分数」(「ある量に対する分割操作の結果得られた量を表現するための数」)であると考えられる。この概念は、「量分数 対 分割分数」という従来の対立図式を調停する。 4.従来の量分数指導は、日常的で操作可能な「対象」(連続量)への具体的かつ合理的に「道具」(互除法)を用いた媒介的行為を子どもに行わせることにより、子ども自身による対象と知識の意味構成を促そうとしているが、通常の教室の「ルール」や「仕事の分割」については質的にくみかえられていない。 5.分数概念のつまづきは、子どもが身をおいている日常の分数使用のコンテクスト(そこでの分割量分数概念)と教師の設定したコンテクスト(そこでの量分数概念)とのズレによって生じると再解釈できる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)