Project/Area Number |
08710301
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国文学
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Research Institution | Fuji Phoenix College |
Principal Investigator |
田中 康二 富士フェニックス短期大学, 日本語日本文学科, 講師 (90269647)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1996: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 村田春海自筆本 / 天理大学春海文庫本 / 稿本 / 写本 / 校合書入本 / 書簡 / 詠草 |
Research Abstract |
本研究は、村田春海自筆本を書誌・文献的に位置付けるべく計画されたものである。計画の実行に際して以下の経過、および結果を得た。1まず、自筆本のリスト・アップのために、自筆確定本を選定する作業からはじめた。(1)そのために伝本の確かなもの(天理大学春海文庫本)の中から、贋作が出来にくいもの(草稿本)を選び出し、『古今墨蹟鑑定便覧』などを用いて署名などにより、底本とする自筆本を確定した。その際執筆時期や使用する筆の問題などから2種類の底本を選んだ。(2)次にこの自筆確定本を原資料として字典を作成し、ほかの伝春海自筆本を鑑定した。その過程で春海の筆跡の特徴は把握できたが、同定の作業に客観性を持たせるため、あくまでも慎重に臨んだ。その結果、春海自筆と認定できたものと、存疑とせざるを得ないものに分類した。そのうち、前者について外形的特徴などの書誌データをパソコンにイン・プットした。2次にデータ入力するにあたり、形態的分類として次のような基準を設けた。(1)稿本、(2)写本、(3)校合書入本(含版本)、(4)書簡、(5)詠草の五つである。この分類基準は閲覧可能な自筆体全体を見渡した上での判断であるが、新たな自筆資料の出現にも対応できると思われる。これを内容的な側面からデータ分析を行なった結果、(1)稿本は、国語学関係のものが多く、(2)写本には備忘録が多く、(3)校合書入本には歌書・物語が多い、という結論を得た。(4)書簡は某宛春海書籍の謂であるから、受取人により内容はさまざまであり、(5)詠草は今だに懐紙・短冊ともに市場にも出回っているので、その確たる傾向をつかむには至らなかった。ただ、これらの特徴は飽くまでも残存資料による分析であるので、実像との隔たりは肝に銘じておく必要がある。
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