イギリス・ルネサンス演劇における都市の表象のポストコロニアル理論による分析
Project/Area Number |
08710330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
英語・英米文学
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
末廣 幹 東京都立大学, 人文学部, 講師 (70264570)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | イギリス・ルネサンス / ポストコロニアル理論 / シェイクピア / トマス・ミドルトン / 地政学 |
Research Abstract |
当該研究は、ポストコロニアル理論を援用しながら、イギリス・ルネサンス演劇における都市の表象をさまざまな角度から分析することを目標にしていた。この研究の課題は二つあった。第一に、イギリス・ルネサンス演劇においてヴェニスなどのイタリア諸都市が表象される場合に、それぞれの演劇テクストに置いて提示されている都市内部の葛藤・対立を直接当時のロンドンの問題に翻訳して解釈することによって、それぞれの対立・葛藤をローカルな次元に封じ込めてしまうのではなく、一見しただけでは都市内部の国内の問題に見えるものの背後にうかがえる近代世界システム成立期の国民国家間の対立・交渉というトランス・ナショナルな次元に開いて解釈することである。第二に、このようにイギリス・ルネサンス演劇のテクスト中に見出されるローカルとトランス・ナショナルの絡み合いや地政学的な歪みを、現代の日本が置かれている地政学的状況においてどのように受容できるのか、また共振させることが可能なのかを考察することである。これら二つの課題に基づいて、当該研究では、具体的に、17世紀のイングランド対スペインの対立・交渉を参照しながら、シェイクスピアの『オセロ-』と『ヴェニスの商人』やトマス・ミドルトンの演劇の分析を行った。『オセロ-』に潜在するイングランドの対スペイン意識の分析や日本における『オセロ-』の受容の報告は、南アフリカで行われた国際学会、"Shakespeare-Postcoloniality-Johannesburg1996"のセミナーにおいて発表した。また、『ヴェニスの商人』におけるヴェニスの地政学的な歪みの分析と日本における『ヴェニスの商人』の受容の可能性の考察は1996年度日本シェイクスピア学会のセミナーにおいて発表した後、ポストコロニアル文学論の論文集『差異と同一化』に寄稿した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)