並行輸入と知的財産権-権利の行使とその濫用の分岐点の探求
Project/Area Number |
08720024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 善之 北海道大学, 法学部, 助教授 (20197586)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 並行輸入 / 知的財産権 / 特許権 / 著作権 / 商標権 / 真正商品 / 国際取引 / 属地主義 |
Research Abstract |
並行輸入と知的財産権の関わり合いを研究するために、知的財産法関係の書籍の購入を進め、東京へ出張し、東京大学法学部等での資料収集を行うことなどにより、必要な情報の収集に努めた。また、東京大学法学部の商事判例研究会で、並行輸入と商標権に関する報告を行い、識者と意見を交わす機会を設けた。 その結果、知的財産法というものが何処でも誰でも自由に利用することができるものに対して人工的に権利を付与したものに過ぎないために、競争政策に応じて自由に権利の範囲を設定することができるという点で、同時に利用することができる人間が独りにすぎない有体物に対する権利であるために必然的に独占権化する所有権とは異なるという知見を深めるに至った(田村善之「機能的知的財産法の理念」同「機能的知的財産法の理論」(1996年・信山社)所収参照)。そうだとすれば、競争政策上、必要とあれば並行輸入に対して知的財産権を行使することを制限する解釈を採用しても背理ではない。しかし、他方で、国際的な知的財産法の枠組みというものを勘案しなければならない場合もある。特に、各国毎に出願をすることにより、各国毎での排他権が保障されるシステムを採用している特許法においては、並行輸入を認めることにより、出願を果たした国での特許権が事実上、空洞化することを容認するわけにはいかない。例外的に権利の濫用と認められる場合に限り、権利行使を制限するに止めるべきであろう。これに対して、出願という要素が絡まない著作権や、創作活動の保護という要素を知らず、ただ商標の有する出所の識別機能を保障するということを目的とする商標法においてはストレートに競争政策を反映させ、並行輸入に対する知的財産権の権利行使を制限する解釈論を採用することが可能であると考えるに至っている(田村善之「並行輸入と知的財産権」同・前掲)参照)。
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Report
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Research Products
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