Project/Area Number |
08720025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
藪口 康夫 岩手大学, 人文社会科学部, 講師 (10271834)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 現代型訴訟 / 民事訴訟 / 環境保護訴訟 / 少額訴訟 / 当事者 / 当事者適格 / 原告適格 |
Research Abstract |
本年度の研究では、アメリカ合衆国・ドイツ連邦共和国における環境保護訴訟・消費者保護訴訟(少額訴訟)の実際の展開の軌跡を、可能な限り詳細にたどった。 まず、アメリカ合衆国においては、消費者保護団体や環境保護団体に出訴権(原告適格)を認めた特別の法律は存在しない。しかしながら、一般的な訴訟要件としての原告適格を有すると認められれば訴訟追行権を有する。これら団体が行政庁の行為を訴訟の対象とする場合には連邦行政手続法10条(a)項の要件を満たすことが必要であるが、その判断は最終的には裁判所によって行われている。 1980年代までのアメリカ連邦最高裁判所は、環境訴訟の当事者は、彼ら自身への不当な行為を正すことだけでなく、公衆の利益を守ることも求めるという認識を示していたため、環境問題に関する原告適格についても、広く環境保護団体にも認めていた。しかしながら、1990年代に入ると、Lujan v.Defenders of Widlife事件(112 S.Ct.2130(1992))などで、環境保護団体の当事者適格を否定する判決が下されるようになってきている。 これに対し、ドイツ連邦共和国においては、個別の法律(自然保護法、不正競争防止法等)により団体に原告適格を認めているが、その団体は無制限ではなく、行政庁による承認手続きを経た団体のみに出訴権(原告適格)を付与している。しかし逆に、団体訴訟は自然保護法等によって明文の規定が定められない限り、裁判所の判例法や理論によって団体に原告適格が認められる可能性はきわめて乏しい。 今後の研究の計画としては、これらアメリカ・ドイツ両国の紛争処理方式が、我が国の民事訴訟法及び民事訴訟法理論との関わりの中で、どのように評価されるべきかを検討する予定である。
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