複数均衡が存在するもとでの内生的経済成長の理論的分析
Project/Area Number |
08730003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
経済理論
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 慎一 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (00221531)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 内生的経済成長 / 貨幣経済 / サン・スポット均衡 |
Research Abstract |
近年盛んに研究が行われている内生的経済成長モデルは、経済が長期的には均斉成長経路のもとで成長を持続させるという大きな特徴をもっている。しかしながら、この均斉成長経路の安定性に関しては最近、Boldrin and Rustichini(1994,Econometrica)らに代表される人々から疑問が呈せられている。本研究の目的は、この内生的経済成長モデルにおける均斉成長経路の安定性に関して、いわゆるCash-in-advanceモデルに代表される貨幣経済モデルを使って再検討しようというものである。これまでの研究成果によれば、内生的経済成長がない場合にはこのような貨幣経済モデルでは合理的期待均衡のもとで、経済変動がファンダメンタルズ以外の要因によって決定される「サン・スポット均衡」が存在する可能性があることが明らかにされている。本研究では、この結果を内生的経済成長モデルに拡張し、サン・スポット均衡が内生的経済成長が存在するもとでも依然として存在するかどうかを検討した。 本研究ではまず、サン・スポット均衡が内生的経済成長が存在するもとでも依然として存在し、またその存在条件は内生的経済成長が存在しない場合と比べて緩やかなものであることを明らかにした。次に、このように内生的経済成長モデルにおいてサン・スポット均衡が存在する場合、それは一定の条件のもとで必ず均斉成長経路よりも平均的には成長率を高めるが、サン・スポット均衡のもとでの経済変動は、結果として社会的な経済厚生は逆に低くなることを示した。これらの結果はこれまでの研究結果とは異なり、サン・スポット均衡の存在が経済成長率を高める可能性があることを明かにしたものである。したがって、人々の心理的な要因によって景気変動と経済成長が同時にもたらされることが示されたことになる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)