Project/Area Number |
08730025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
経済政策(含経済事情)
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
川浦 昭彦 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (10271610)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 知的所有権 / 特許法 / 通商交渉 / タイ王国 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、知的所有権保護に関して発展段階の異なる二国間で行なわれる交渉の理論的枠組みを確立し、その枠組みを用いて米国とタイ王国との間で最近行なわれた交渉の展開を実証的に評価することであった。 理論面では、二国間交渉の枠組みをゲームの理論を用いてモデル化するという成果が得られた。そこでの主な結論は2点にまとめられる。第一に、知的所有権の保護強化に同意いない途上国に対して先進国により発動される『制裁』に対し、途上国が『報復』を行なう場合を考えると、交渉の結果として知的所有権保護強化が実現されるのは保護強化が経済的厚生の悪化に繋がる可能性が高い途上国においてのみである。第二に、先進国が複数の途上国と交渉を行なう場合には、経済規模の小さな途上国が先ず交渉の標的にされる可能性が高く、それは先進国・途上国双方での研究開発活動への誘因という観点からは望ましくない。 実証研究として、米国が通商法301条に定められた一方的報復措置を用いてタイ王国に知的所有権の強化、特に医薬品特許の範囲拡大を求めた事例を取り上げた。この交渉の結果としてタイの特許法は改訂されたのであるが、それにより長期的にはタイ経済の社会的厚生は改善される可能性が高いという知見を得ることができた。 今後の研究課題としては、タイ王国だけで無く、米国が過去に様々な途上国と行なってきた交渉事例を整理することにより、ゲーム理論から導かれた交渉順序に関する結論が、現実を説明するのに適当であるか否か検証することが挙げられる。
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