身障者雇用企業の時間地理学的分析に基づく、高齢化社会の企業組織についての実証研究
Project/Area Number |
08730077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Business administration
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
川村 尚也 甲南大学, 経営学部, 講師 (80268515)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 高齢化社会 / 高齢者雇用 / 障害者雇用 / 企業組織 / 学習性無力感 / 自己効力 / 地域社会 / ノーマライゼーション |
Research Abstract |
本研究では高齢化社会において高齢者の雇用と社会参加の場を提供しうる企業組織のありかた探るために、大分県別府市の自動車部品メーカーホンダ太陽(株)による身体障害者と健常者との「異者協働」への取組についての詳細な事例研究を行った。平成8年4月に同社が工場の新設に伴う大幅な組織・業務内容の改訂を行い、当初予定していた時間地理学的手法による定量的な調査が困難になったため、同社の経営者・管理職へのインタビュー調査を中心とした定性的な調査を行い、以下のような知見が得られた。 ホンダ太陽はその創設時より、いわゆるノーマライゼーション(normalization)の観点から、従来のような「収容施設」的な「障害者だけの職場」ではなく、「障害者と健常者が共に生き生きと働ける職場づくり」を目指してきた。しかし、そうしたビジョンに基づいて実際に会社づくり・組織づくりに取り組んでいくうちに、その実現を妨げているのが、実は障害者自身の中にある学習性無力感(自分達は健常者に比べて能力が低いという「劣等感」あるいは「否定的な自己イメージ(=自分に対するラベル)」)であることに気がついた。そこで、そうした障害者達の学習性無力感を解消するために、1)彼らが持っている(あるいは陥りやすい)否定的な自己イメージを継続的に揺さぶり続ける、2)彼らの自己効力を高め、より肯定的な自己イメージの創造を支援・促進する、という2つの大きな働きかけを行い、それによって個人と組織が共に成長する職場づくりに成功した。 今後はこうした研究成果を踏まえて、同社の現場レベルにおける異者協働のためのより具体的な取組内容とその一般化可能性、およびそうした同社の先駆的な試みを支えている事業環境や地域社会のありかたなど、よりマクロな構造的要因について、当初計画していた時間地理学的手法などを用いて研究を継続していく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)