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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
一次元のシュレディンガー方程式を考える.ポテンシャルは実数値解析函数で短距離型となる.問題は,エネルギーEがポテンシャルV(x)の最大値V_0の複素近傍にあるとき,散乱行列S及びその極であるレゾナンスの分布を準古典的に解析する,すなわちプランク定数hを0に近づけたときの漸近挙動を調べることである. M={x∈R;V(x)=V_0}とする.M上ではV(x)は非退化であると仮定する.Mが二点からなるときを調べたのが下記の論文1である.♯M=1の場合,レゾナンスがV_0を通り実軸に垂直な直線の上に分布し,E<V_0なら透過係数は指数的に小さいのに対し,♯M=2の場合,レゾナンスは実軸に接する曲線の上に密に分布し,これに対応して透係数も離散的な値においてピークを持つ.これは後者の場合二つのバリアの間にヘテロクリニックな古典軌道を持つことによって生じる現象である. 上の結果を♯M=nの場合に一般化したのが論文2である.散乱行列SはWKB解を接続することによって得られる.したがっていくつかの行列の積の形に書ける.しかしSの各成分のhに関する漸近展開の初項だけを見てみると,それらは以下に述べる物理的な描像を反映した公式によって直接計算できることを示した.実軸上で運動する粒子を考える.ただし粒子は古典的に許される領域では直進し,バリアにあたったときは反射するかまたはトンネル効果によってバリアを通り抜けるかのいずれかとする.このような経路のうち,たとえば-∝から来て+∝に去って行くもの全体をC_<11>とする.C_<11>の各元に対し確率振幅をうまく定めてやると,Sの(1,1)成分s_<11>はC_<11>のすべての元に互って確率振幅を足しあわせたものに等しい.他の成分についても同様である.これは明らかにFeynmanの経路成分を示唆している.すなわちFeynmanの経路積分をいわゆる鞍部点法によって漸近展開したとき,停留経路の全体がC_<11>という可算集合であることが意味しているのである.
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