Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
偏微分方程式系の超局所解析の理論は,佐藤幹夫の着想に基づいて,佐藤-河合-柏原により1970年代初頭に建設された。70年代後半から境界値問題の超局所的研究が始まり,佐藤-河合-柏原の理論及び柏原-河合による楕円型境界値問題の理論をもとに,Schapira,片岡により解の特異性が境界で反射することが証明された。さらに80年代に入って,片岡その他により滑らかな境界による特異性の回折現象の仕組が明らかにされてきた。研究代表者は博士論文(1990)において,滑らかでない境界を持つ領域上の境界値問題を超局所的に研究し,特に,角のある領域における境界値問題の超函数解の特異性のアプリオリ評価を与え,角により回折現象が生ずることを初めて一般の場合に証明した。 この課題では,上記の成果を踏まえ,滑らかでない境界を持つ領域上の解析を(境界値問題に限らず)代数解析的な視点からさらに進めることを目指して研究を行った。特に角を持つ擬凸領域(凸多角形を底とする2次元柱状領域などに代表される)のベルグマン核の特異性を解析することを試みた。そこではベルグマン核を初めて代数解析的に扱った柏原の解析(1976)から,領域の角においても超局所的にはベルグマン核がホロノミー性を持つことを予想し,この成否について検討した。さらにその場合,その満たすホロノミック・マイクロ微分方程式系の計算から,擬凸領域の角におけるベルグマン核の特異性の主要部を決定した。また凸多角形を底とする2次元柱状領域の場合には摂動計算によるさらに詳しい解析も実行したが,それについてはまだ整理していない。角を持つ擬凸領域のベルグマン核のホロノミー性についてもまだ検討すべき箇所が残されており,それについては研究を続行中である。 境界値問題に関しては,微分方程式系に対して境界が半マイクロ双局型である場合には、柏原-河合の楕円型境界値問題の理論の類似が成り立ち,境界を越える解の接続の障害が境界上のマイクロ微分方程式系のことばで記述されることを示した。(京都大学数理解析研究所講究録に掲載予定。)
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