Research Abstract |
本研究課題の対象である関数の特殊な場合として正定値関数がある.この積分表示について調べることは本研究課題を進める上で意義深い. 可換*半群上の正定値関数が,指標半群上の正則ボレル測度で積分表示出来るような可換*半群を半完全,その表現測度がいつも一意に定まるとき完全であるという.成果の第一として,有理数半群Qの直積半群(Q^κ,+,*)(*構造は一般)において,そのconelike*部分半群を考え,その完全性を示した.今までは*構造が恒等的の場合に証明されていたが,2次元の場合で*構造が(p,q)^*=(p,-q)のときに定理が成立することを示し,一般の*構造でもこのことから既知の保存性を使うことにより証明した.更に3次元以上については,帰納法を使うことにより証明した.これが現在,外国雑誌に投稿中の論文の主定理である. また,正定値及びモーメントの概念を作用素値関数の意味に拡張し,作用素値関数の意味での積分表示可能性と完全性・半完全性の関係を調べた.作用素値関数の場合,スカラー値関数の正定値に対応する正値性として正定値及び正型の2種類が考えられる.成果の第二として,正定値(作用素値)の意味での一意的積分表示可能性及び正型の意味での一意的積分表示可能性が完全性と同値であることを得た.また,半完全な半群として知られている非負整数半群N_0,整数半群Z,さらには(Z^2,+,(p,q)^*=(q,p))が正型の意味で半完全であることも示した.この結果については現在論文としてまとめる方向にある.
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