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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
観測的宇宙論の議論の多くは,一様等方な宇宙モデルに立脚しているが,現実の宇宙の物質分布は,超銀河団のスケールにいたるまで非線形・非一様である。 これまで我々は、重力レンズの統計的解析によって宇宙モデルを決定する研究を行ってきたが,レンズ物体による光の曲がり以外には,光の伝播に対する非一様物質分布の影響を十分に考慮していなかった。その理由の一つは,非線形・非一様物質分布を持つ現実的非一様宇宙を記述する有用な方法がなかったことにある。 そこで,今回はまずこのような非一様宇宙を記述する「一般相対論的ゼルドビッチ近似」を開発・発展させた。この方法は以下のような特徴を持つ。 1.密度ゆらぎが1より小さいという仮定に依存しない。 2.この手法によって得られた近似解は,一様等方バックグラウンドからのずれが局所的に1次元的であるときには、厳密解を含む。 3.密度ゆらぎが1より十分小さいときには線形摂動論の結果を再現する。 この近似法がどの程度精度よく非一様宇宙を記述できるかを明らかにするために,ルメートル・トールマンモデルという厳密解を用いて,密度分布の比較を行った。その結果,同じ球対称な初期条件からはじめても,他の近似法と比較して,我々の方法は密度ゆらぎが0.5より大きい場合でも,ゆらぎの成長をよく表していることがわかった。
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