液体セレンにおける非金属・金属転移の第一原理シミュレーション
Project/Area Number |
08740286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
下條 冬樹 広島大学, 理学部, 助手 (60253027)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | セレン / 液体 / 非金属・金属転移 / 電子状態 / 第一原理分子動力学法 / シミュレーション / 擬ポテンシャル / 理論 |
Research Abstract |
液体セレンは、低温においては半導体的性質を示すが、温度を上昇させていくと、密度の減少に伴い、非金属・金属転移を起こし金属状態になる。このような転移において、ミクロな原子配置や電子状態がどのように変化するのかを調べることは、その機構を明らかにする上で重要で、非常に興味深い。本研究では、第一原理分子動力学法を用いて、液体セレンの非金属・金属転移に伴うイオンの構造変化を調べた。 価電子とコア電子との相互作用には擬ポテンシャルを用い、電子状態は、局所密度近似を用いた密度汎関数法で扱った。計算を行った熱力学的状態は、温度、数密度がそれぞれ(1170K,0.0270A^<-3>)、(1770K,0.0254A^<-3>)の状態である。立方体のスーパーセル中の、81個のセレン原子からなる系に対して計算を行った。非金属・金属転移は、約1300Kの温度で起こることが知られている。 1.液体セレの非金属・金属転移とイオンの構造変化の関係について 第一原理的に得られたイオンの動径分布関数より、配置数は温度によらずほぼ2であるが、高温では、ボンドの長さが若干短くなることを明らかにした。これは高温においてはボンドが切れることにより短いセレン鎖が多くなるが、低温における長いセレン鎖に比べて、鎖内の結合が強まりセレン間の距離が短くなるものと考えられる。また、高温の動径分布関数の第一ピークと第二ピークの間の約3Aのところに特徴的な盛り上がらも認められた。これは、3つのセレンが関係するボンドの組み替えにかかわるものである。 2.液体セレンの非金属・金属転移と電子状態の関係について 電子の状態密度より、高温では金属状態が再現されていることを確認した。セレン鎖が短くなると伴に、乱れたイオン配置が生じ、フェルミ面近傍の波動関数が広がりをもつため金属化が起こると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)