Project/Area Number |
08740294
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松原 明 大阪市立大学, 理学部, 助手 (00229519)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 長流動ヘリウム3 / アンドレーエフ反射 |
Research Abstract |
アンドレーエフ反射はparticle的な準粒子が壁で反射して,hole的なものとして帰ってくる現象であり,金属の超伝動で実験的にその存在が示されている。アンドレーエフ反射では通常の反射とは異なり、準粒子が散乱前後でほぼ等しい運動量を持つため壁に対する運動量のやりとりがほとんどない。また,アンドレーエフ反射を起こす要因は壁付近での秩序パラメータの変化であり,反射の確率は低温ほど高くなる。 本研究では異方性超流体であるヘリウム3におけるアンドレーエフ反射に関する研究であり,広い隙間を持つねじれ振子の測定から,超流動ヘリウム3の粘性率と試料室表面での液体ヘリウム3の滑りを表すスリップ長とよばれる量を測定した。このスリップ長は液体ヘリウム3と壁との運動量のやりとりに依存し,ヘリウイム3準粒子の試料室表面での散乱の様子を強く反映する量である。そのためアンドレーエフ反射の確率が増えると運動量のやりとりが減るため,スリップ長は長くなると考えられている。 測定からスリップ長の温度依存性は,種々の圧力において理論で計算されたスリップ長の温度依存性とほぼ一致する結果を得た。このことからヘリウム3でもアンドレーエフ反射が起こっていることが強く示唆される。また,壁の状態の変化による影響を見るために,試料室表面をヘリウム4の薄膜で覆った測定を行った結果,スリップ長は全温度範囲で長くなるという結果を得た。その増加の仕方は単純に定数倍されたものではなく,アンドレーエフ反射を起こさない場合の表面の鏡面化によるスリップ長の増加によってよく説明できるものである。これらより超流動ヘリウム3においてもアンドレーエフ反射が存在し,その大きさは壁の状態の影響をあまり受けないことがわかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)