Si-MOS二次元電子系における極低温領域での巨大磁気抵抗の角度依存性
Project/Area Number |
08740297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
岡本 徹 学習院大学, 理学部・理学部助手 (60245371)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 多体交換相互作用 / ウィグナー結晶 / Aharonov-Bohm効果 / 活性化エネルギー / 2次元電子系 |
Research Abstract |
シリコン反転層中の2次元電子系の絶縁相において大きな磁気抵抗の振動が知られていたが、成因については全く分かっていなかった。本研究では、対角抵抗の温度依存性から活性化エネルギーを求め、その磁場の大きさや方位に対する依存性などを系統的に測定した。膨大な実験データに裏付けられた考察から以下の知見が得られた。 (1)後述の磁束の効果がないときには2次元電子系の絶縁相の基底状態は、強磁性的である。ウィグナー結晶を組んだ電子同士による3体の交換相互作用の存在を仮定すれば説明できる。(2)活性化電子は、ウィグナー結晶中の電子との反強磁性的相互作用により、スピン反転、または谷反転を行う。活性化エネルギーの平行磁場依存性の実験結果と一致する。(3)多体(リング状)の交換経路を磁束が貫いたときにはAharonov-Bohm効果によって交換相互作用の性質が変化する。活性化エネルギーの磁場の二次元面に対する垂直成分への依存性は、このことによるウィグナー結晶中の交換エネルギーの変化と磁気相転移によるものとして定量的に理解できる。(4)実験から得られた、2体、3体の交換相互作用の大きさは、RogerのWKB近似計算から得られたものと20%の精度で一致した。但し、4体交換相互作用は実験値の方が小さく、不純物効果が大きな経路の交換を抑制していることを示唆する。(5)裸の谷分離のエネルギーが理論値より数倍大きいことが分かった。谷の分離については、まだ未解決の問題が多く、今後の研究が待たれるところである。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)