Project/Area Number |
08740298
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江藤 幹雄 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00221812)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 量子ドット / クローン・ブロッケード / クローン振動 / 電荷ソリトン / 電流ゆらぎ / メゾスコピック系 |
Research Abstract |
複数の量子ドットを並べた系では電荷間に長距離の相互作用が働き、それに起因する新しい物理現象に興味が持たれている。本研究ではドットの1次元集合系に着目し、電流とその揺らぎを計算することで、長距離相関の非平衡伝導特性への影響を理論的に解明した。 モデルとしてドットを直列に並べ、それに定電圧バイアスとゲート電圧を付けた系を考える。計算方法は、マスター方程式を数値的に解く、モンテカルロ・シミュレーションの2つを用いた。バイアスとゲート電圧依存性を、系の大きさを系統的に変えて調べたところ、次の点が明らかとなった。(i)系のサイズが電荷間相互作用の遮蔽長より小さい場合、低バイアス下でクローン振動に微細構造が現れる。その構造は電荷が1つずつ流れる際のregular processとirregular processの2つの過程を反映したもので、それぞれ電流揺らぎの極小、極大に対応する。さらに、前者の過程に対して、電流揺らぎの周波数依存性の解析的な表式を得た。(ii)系のサイズが大きい場合には、複数の電荷が相関し合って伝導する。その効果は電流揺らぎの周波数依存性にピーク構造として現れる。これは電荷がほぼ等間隔に並び(荷電ソリトン格子)、集団的にスライド運動することで理解される。 次にドットの並列系に対して同様の計算を行った。系のサイズが大きい場合、特定のゲート電圧で電圧揺らぎの異常な増大が生じることが分かった。それはショット・ノイズの数倍にも及ぶ。この現象は電荷がドット1つ置きに配列する「電荷結晶」の形成に起因する。その「結晶」は有限バイアス下で準安定状態であり、それが崩壊するまでの長い時間スケールと、その後の電荷輸送の短い時間スケールの2つの競合によるものであることを究明した。
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