量子ホール系における臨界波動関数のマルチフラクタル解析
Project/Area Number |
08740304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺尾 貴道 北海道大学, 工学部, 助手 (40271647)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 量子ホール効果 / アンダーソン局在 / 2次元電子系 / マルチフラクタル / 局在・非局在転移 / 大規模固有値解析 |
Research Abstract |
強磁場中の2次元電子系すなわち量子ホール系においては、ランダウ準位の中心を除いて全ての状態は局在し、中心のみに系全体に広がった臨界的な波動関数が存在する。量子ホール系における従来の数値的研究によると、高いランダウ準位(N【greater than or equal】1)においては局在長に関する臨界指数の値が系のランダムポテンシャルの微視的詳細に依存しており、単一パラメータ・スケーリングが成立していないとされてきた。近年この問題に関して、スケーリングには本質的でない特徴的長さξ_<irr>を導入した理論が提唱されている。すなわちξ_<irr>が十分短い場合(ランダムポテンシャルが長距離な場合)、高いランダウ準位における局在・非局在転移の振る舞いは最低ランダウ準位と同様になり、臨界指数はNに依存しないことになる。しかし単一パラメータ・スケーリングが成立しない物理的理由及びξ_<irr>の起源などは未だ不明であり、このように高いランダウ準位における局在・非局在転移の振る舞いに関してはよく分かっていない問題が残されていた。 本研究では、2次元整数量子ホール系のランダウ準位中心における臨界波動関数の振る舞いを、スーパーコンピュータによる大規模数値計算によって明らかにした。このような局在・非局在転移点においては、波動関数の局在長は発散して特徴的な長さスケールが存在せず、波動関数の空間的分布はマルチフラクタルになっている事が知られている。具体的には最低ランダウ準位及び高いランダウ準位における電子の波動関数を、ランダムポテンシャルの微視的性質を変えながら大規模行列対角化によって数値的に調べ、量子ホール系における臨界波動関数のマルチフラクタル性および局在のユニバーサリティーについて明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)