Research Abstract |
大阪大学の循環水路で高速の一方向流の下でアンティデューンを形成した.アンティデューンは堆積構造が残りにくいとされているが,砂と炭化硅素粉末を水路の上から水路全体に供給し,流れの中に浮遊砂が高濃度で含まれる状態にしてアンティデューンを累積させると,堆積構造をはっきりと確認できた.その結果,浮遊砂の多い状態で形成されるアンティデューンの堆積構造は,下に凸の浅いレンズ上のラミナが上流側および上方へと重なったものであることがわかった.時折,上に凸のラミナも認められる.この構造は,波長が短いことをのぞけば,振動流や複合流で形成されると考えられているハンモック状斜交層理と同じである.また,実験で堆積した構造を不撹乱で固め,粒子配列を調べると,流れに平行な断面では,長軸の傾きが両方向に卓越分布を示した.これをさらに,砂粒数粒の幅でラミナに平行に解析すると,平均の傾きが上流側から下流側,さらに上流側へと周期的に変化することがわかった.この粒子配列は,地層のハンモック状斜交層理と同じである.最近,一方向流で形成された地層からハンモック状斜交層理と同じ構造が報告され,「HCS mimics(ハンモック状斜交層理もどき)」と呼ばれていたが,これらは一方向流で形成されたもので,粒子配列や堆積構造が,振動流や複合流で形成されるものと同じ構造を示していることになる.したがって,高速で堆積物の供給量が多く,浮遊砂が多い状態では,振動流でも複合流でも,さらに一方向流でも,粒子単位でみれば同じ堆積現象が起こっているといえる.
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