• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to previous page

イシガイ科二枚貝殻体内の有機質薄膜の形成様式とその適応進化的解釈

Research Project

Project/Area Number 08740407
Research Category

Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)

Allocation TypeSingle-year Grants
Research Field Stratigraphy/Paleontology
Research InstitutionNatural History Museum and Institute, Chiba

Principal Investigator

伊佐治 鎭司  千葉県立中央博物館, 地学研究科, 学芸研究員 (40280747)

Project Period (FY) 1996
Project Status Completed (Fiscal Year 1996)
Budget Amount *help
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Keywords二枚貝 / 淡水 / 殻の溶蝕 / 機能形態 / 選択圧 / 適応進化
Research Abstract

殻の溶蝕現象は、淡水に生息する二枚貝にとって致命的ともなりかねない。一般に淡水の酸性化は、水中の二酸化炭素溶存量に依存し、その溶解度は水温が低いほど大きい。それゆえ、水温の低い高緯度の淡水ほどpHが低いと予想される。イシガイ超科に属する二枚貝は、極地域から熱帯地域の淡水環境に広く分布し、貝殻内層中に有機質薄膜を分泌することで、殻の溶蝕の進行を効果的に遅らせることができるが、pHの低い高緯度地域に適応した種ほど、有機質薄膜を効率良く形成していることが予想される。
本研究では、高緯度地域の優先種であるドブガイ亜科に属するドブガイ、中〜低緯度地域に生息するイシガイ亜科に属するタテボシガイとササノハガイ、マツカサガイ、これら4種が同所的に生息する河川において定期的な採集を行い、殻体の真珠層を形成する結晶の厚みと、有機質薄膜の存在様式を調べた。その結果、ドブガイの真珠層を構築する結晶の厚みは、水温の変化に伴って増減し、有機質薄膜は結晶の厚みが最も薄くなるときに必ず形成され、幼貝の時期にも形成されることが明らかになった。これに対して、後者3種では、結晶の厚みの変化は見られるものの、ドブガイ程顕著ではなかった。また、有機質薄膜は、幼貝の時期には形成されない傾向があり、殻頂部の溶蝕が著しくなってから形成される個体が見られた。
この結果は、ドブガイの有機質薄膜は、殻の溶蝕による刺激の有無にかかわらず形成され、イシガイ亜科に属する3種では、溶蝕による刺激があってはじめて形成されることを強く示している。また、この4種は同所的に生息していることから、有機質薄膜の形成様式に見られる多様性は、それぞれの遺伝的特性に反映されたものである可能性が高い。これらの有機質薄膜の形成様式に見られる多様性は、殻の溶蝕現象がイシガイ科二枚貝の適応進化において、選択圧として働いたという伝説を支持する有力な証拠となるであろう。

Report

(1 results)
  • 1996 Annual Research Report

URL: 

Published: 1996-04-01   Modified: 2016-04-21  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi