Project/Area Number |
08740434
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山門 英雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30242035)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 速度分解ペニングイオン化電子分光 / 相互作用ポテンシャル / 炭化水素 / 金属 / メタロセン / 金属カルボニル / 準安定励起原子 |
Research Abstract |
速度選別した励起原子によるペニングイオン化電子分光法を用いることによって、炭化水素と金属原子との間に働く相互作用についての新たな知見を得ることを目的として実験を行った。原子や分子の間に働く相互作用の性質を解明することは、化学反応や結晶構造の安定性などの理解に直接的な手掛かりを与える。具体的実験方法としては、これまでに開発してきた二次元ペニングイオン化電子分光装置を用いて一連のメタロセン金属カルボニル化合物の部分イオン化断面積の衝突エネルギー依存性を測定し、分子が励起原子に及ぼす相互作用、ひいては分子内で金属原子と炭化水素部分との間に働いている相互作用に関する知見を得た。例えばメタセロンについては、シクロペンタジエニル環の上下方向でヘリウムの励起原子に対して特徴的な引力的相互作用が存在し、その相互作用の大きさは中心金属の種類によって系統的に変化していること、及びシクロペンタジエニル環の水素原子近傍では、中心金属の種類に依らずヘリウム励起原子に対しての引力的相互作用が弱いことを実験的に明らかにした。以上のことは中心金属原子の原子軌道とシクロペンタジエニル環由来の分子軌道の相互作用を考えることによって系統的に説明でき、その詳細は分子構造総合討論会(1996)で報告した。金属カルボニルに関しては、配位子である一酸化炭素の酸素末端部分でのヘリウム励起原子に対する引力的な相互作用が単独の一酸化炭素分子の場合よりも錯体形成によって強くなっていること、及び中心金属の違いによる分子の立体構造の違いが相互作用ポテンシャルに強く反映されていることを初めて見出した。この結果は分子軌道法を用いた相互作用ポテンシャルのモデル計算からも支持された。(金属カルボニルについての詳細は日本化学会第72春季年会(1997)で報告。)
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