Project/Area Number |
08740446
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菱川 明栄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50262100)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | クラスター / 自動イオン化 / リュードベリ系列 / スペクトル階層構造 / ストカスティシティー / 量子カオス |
Research Abstract |
超音速ジェット中に生成した、水銀・ネオン2原子クラスター(HgNe)をレーザー2色2光子共鳴法によってイオン化し、イオン化スペクトルの測定を行った。リフレクトロン型飛行時間質量分析器を用いることによって、生成したイオン種を高質量分解能で検出し、単一質量イオン種についてのイオン化スペクトルを得ることができた。測定されたスペクトルには、HgNeのイオン化限界付近(83880-84020cm^<-1>)で振動自動イオン化によるシャープな構造が見いだされた。低エネルギー分解能測定(δν=0.7cm^<-1>)によって観測された主なピークは、フランクコンドン的に明るい、イオンコアの振動量子数がv^+=2,3のイオン化限界に収斂するd-リュードベリ系列に帰属された。さらにレーザーキャビティ内エタロンを用いた高エネルギー分解能測定(δν=0.05cm^<-1>)によって、それぞれのピークは複雑な共鳴構造を持つことが見いだされた。例えば、v^+=2リュードベリ系列の一つのピークは、フランクコンドン的に暗く、より準位密度の高いv^+=1リュードベリ系列との結合によっていくつかの小ピークにわかれる。イオン化スペクトルにおけるこのような階層構造は、光励起によって生成したv^+=2イオンコアを持つリュードベリ状態が、電子とイオンコアの衝突によるエネルギーの授受によって、v^+=1のリュードベリ状態に遷移し、最終的にv^+=0のイオンを生成する過程の存在を示唆している。半古典的に考えた場合、電子とイオンコアのエネルギーの授受は。衝突の際のイオンコアの振動の位相に依存するので、イオン化過程がストカスティックなものとなることが予想されている。多チャンネル量子欠損理論を用いたより詳細なスペクトルの解析によって、量子系におけるカオスのふるまいを探ることができると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)