Project/Area Number |
08740448
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 宏治 東京大学, 工学系研究科, 助手 (40270889)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 磁気力 / 勾配磁場 / 液滴形成 / 非磁性液体 / 永久磁石 / 酸素溶解 / 拡散過程 |
Research Abstract |
本研究は、印加磁場下にある非磁性(常磁性・反磁性)物質の平衡状態の解明、および、そのような平衡に至るまでの速度過程に対する磁場の影響の評価を目的とする。本年度では、以下の3つの平衡・速度過程に関して、理論・実験の両面から検討を加えた。 (1)液滴 縦方向の不均一磁場下で非磁性液体の液滴を形成し、その体積を評価した。蒸留水の滴の体積は、中心9Tの磁石中の位置に依存して、増加ないし減少した。また、密度の近い別の液体中で滴下を行うと、永久磁石の下でも体積変化が肉眼で観測できた。力学平衡論からは、この体積は、界面張力、重力、磁気力(有限の磁化率を持つ物体が勾配磁場で受ける力)の3つのバランスから決定されるが、本実験で観測された変化は、完全に定量的に記述できた。 (2)水中の溶存酸素量 磁場を印加した水中に溶け込む酸素の濃度を考察した。磁場の印加は、平衡溶存酸素量には影響しないが、溶存速度を加速させることが実験的に明らかになった。前者は、化学平衡論から予測される妥当な結果であるが、後者については明確な理由がない。反応律速、拡散律速のそれぞれを仮定して、変化を系統的に調べ、適当なモデルを探索してつつある。 (3)多孔質膜をはさんだ拡散 多孔質膜を隔てた、濃度の異なる非磁性物質の水溶液における溶質の拡散過程を不均一磁場下で調べた。磁化率が大きい物質を使用すると、膜の位置により、拡散が促進・抑制された。促進・抑制の方向は、溶質に働く"磁気力"の方向にほぼ合致している。しかし、溶質に"磁気力"が働かないはずの磁場中心でも拡散係数に影響が及ぶなど、"磁気力"以外の要因も無視できないように思われる。磁場分布や物質を変えて拡散係数の依存性を系統的に調べ、全体像の解明を目指している。
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