Project/Area Number |
08740464
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中嶋 敦 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (30217715)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 電荷移動状態 / 水素移動反応 / 溶媒効果 / 光電子分光 / 7-アザインドール / 非反応性2量体 |
Research Abstract |
本研究では電子励起状態で電荷移動反応や水素移動反応をを示す錯体もしくは分子について、負イオンを起点としてその溶媒和クラスターの光電子スペクトルを測定し、電荷移動状態の電子物性の溶媒効果を明らかにすることを目的として、研究を遂行した。電子励起状態の電子物性の溶媒効果を解明する上では、溶媒和分子数を制御してその電子および振動構造を定量的に調べることが重要である。本研究では負イオンからの光電子分光を用いて、質量選別によって組成を分離することを可能とし、さらに単一成分のクラスター負イオンの光電子スペクトルを測定して、中性状態の電荷移動状態とその振動構造をサイズ毎に追跡した。その具体例として、7-アザインドールの2量体とその水錯体を取り上げた。7-アザインドールの2量体には、水素移動反応を起こす反応性2量体と非反応性2量体とが共存すると考えられ、その構造に興味がもたれてきた。早大理工の藤井らによる赤外スペクトルの測定では、非反応性2量体には水分子が含まれることがわかってきた。本研究では、7-アザインドール2量体およびその水錯体の負イオンの光電子スペクトルを測定し、電子親和力を決定するとともに、光電子スペクトルの励起波長依存性を測定した。その結果、7-アザインドール2量体負イオン自身の励起状態でも水素原子移動反応を起こし、7-アザインドール2量体の水錯体は芳香族環に水2量体が付着した構造をとることがわかった。また、水分子の溶媒和によって電子状態が2000cm^<-1>程度ずつ変化することから、7-アザインドールの非反応性2量体は、芳香族環上に水分子を有するために水素原子移動反応が阻害されるものと結論した。
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