Project/Area Number |
08740465
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
長谷川 匡俊 東邦大学, 理学部, 講師 (40237988)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | Aerosol OT / 逆ミセル / 反応場効果 / ポリメタクリル酸 / pH-誘起拡張-収縮転移 / 蛍光プローブ法 / ミクロpH |
Research Abstract |
本研究では優れた界面活性剤であるAerosol OTの逆ミセル中心に形成されたナノメーターオーダーの親水性領域(ウォータープール)における特異的な反応系(物理的転移現象を含む)の構築を目的とし、第一段階としてポリメタクリル酸(PMA)のpH誘起拡張-収縮転移を取り上げた。この水溶性高分子は水中でpH変化によりポリマー鎖の形態が協同的に急激に変化することが知られている。ダンシル(DNS)基およびフルオレセイン(FL)基はそれぞれミクロ極性およびミクロpHを反映して蛍光および励起スペクトルのピーク波長が敏感に変化する性質を持っているので、これらの蛍光プローブをPMA鎖に別々にラベル化(微量、共有結合)して逆ミセル中に可溶化されたPMA中のミクロ環境を探ることによりpH誘起拡張-収縮転移の場の効果を調べ次のような効果を得た。 1.逆ミセル中におけるPMAの拡張-収縮転移:DNSラベル化PMAを用いて調べたところ逆ミセル中ではバルク水中に比べてはるかに幅広いpH範囲で起こった。 2.逆ミセル中のミクロpH:FLを可溶化してその励起スペクトル変化から逆ミセル内のミクロpHを可溶化前のバルクpHの関数として見積もったところ、pHを一定に保とうとする緩衝作用があることがわかった。 3.拡張-収縮転移のPMA分子量依存性:分子量増加と共にPMAコイルの慣性半径が大きくなるが、逆ミセル中ではPMAコイルの広がりに合わせてゲストミセルが膨張/巨大化している証拠が得られた。緩衝作用に対抗して緩やかながら起こるpH誘起拡張-収縮転移は上述のようなゲストミセルの構造変化によってアシストされていると思われる。 PMAコイル内のミクロpH:FLラベル化PMAの蛍光測定より、バルク水中ではコイル内のミクロpHはバルクpHと一致していない。また逆ミセル中では上述の緩衝作用の影響を強く受けてコイル内のミクロpHもバルクpHに全く追従せずある一定値を保った。 以上のようにAerosol OT逆ミセル中心の特異的なpH挙動が、pH誘起転移現象に対して強く影響を与えた。この結果はpHに敏感な反応系(酵素反応)の構築に重要な知見を与えるうる。
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