Project/Area Number |
08740478
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
安松 久登 理化学研究所, 無機化学物理研究室, 基礎科学特別研究員 (20281660)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | クラスター・表面衝突 / Icl^-(CO_2)_n / 一酸化窒素クラスター負イオン / 酸化窒素不均化反応 / 分子動力学法 / 飛行時間型質量選別器 / 内部エネルギー分布 / ナトリウムフラスターイオン |
Research Abstract |
平成7年度までの研究により、X_2^-(CO_2)_n(X=I,Br)をシリコン表面に衝突させると、X_2^-結合のくびれ位置に配位しているCO_2分子がX_2^-結合を力学的に切断する現象(くさび効果)を発見した。本年度の研究では、溶媒和構造や中心イオンの質量・電子構造がクラスター・表面衝突過程の重要因子であることに着目し、IC1^-(CO_2)_nの表面衝突解離を調べた。また、化学結合の組み替え反応が期待される(NO)_n^-とシリコン表面との衝突実験を行った。さらに、クラスターイオンと表面との衝突により散乱される、電荷的に中性な生成物を検出する装置、および、清浄固体表面を調整・分析する装置を開発した。 ICl^-(CO_2)_nの衝突実験により、ICl^-の分子軸上に溶媒和したCO_2分子はICl^-結合の解離に影響を与えないことを発見した。また、ICl^-の解離により生成したI^-とCl^-とは異なる速度分布を持つことがわかった。さらに、IC1^-(CO_2)_nとシリコン表面との電子的相互作用によるI-Cl間の電子移動を示唆する実験結果を得た。これらの実験結果を理論的に調べるため、分子動力学計算を行った。IC1^-(CO_2)_nの最安定構造を計算し、このIC1^-(CO_2)_nとSi(100)表面との衝突シミュレーションを行うことにより、解離反応速度および散乱速度分布に関する実験結果を再現した。一方、(NO)_n^-の衝突では、3つのNOの不均化反応によるNO_2^-生成反応を発見した。この不均化反応速度は、クラスターサイズとともに増加する。現在、分子軌道法などを用いて、理論的に調べている。 今年度新たに開発した電荷中性生成物の検出装置を用いて、(NO)_n^+のシリコン表面衝突により生成したNOの分子の共鳴2光子イオン化に成功した。これを発展させると、NO生成物の内部エネルギー分布を測定することができるものと期待される。また、(Na)_n^+のシリコン表面衝突実験も開始した。生成する(Na)_mは、1光子イオン化により容易に検出できるという長所を持つ。
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