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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
遷移金属とヒドロシリル基との相互作用については触媒反応等との関連から多くの研究例があり、その結合様式に関しては金属中心に対してSi-H結合がη^2-配位した三中心型錯体として良く知られている。これに対し、d軌道が結合に関与しない典型金属とヒドロシリル基との相互作用についてはこれまでほとんど知られていなかった。最近、テトラキス(ジメチルシリル)エチレン-ジリチウム錯体のX線結晶構造解析から典型金属であるリチウムと分子内のヒドロシリル基が結晶中で相互作用し、NMR、IR等の分光学的観測から溶液中においてもSiH-Li間に相互作用が発現していることを明らかにした。また、ナトリウム以降のジアルカリ金属錯体の合成にも成功し、分光学的観測からいずれの錯体においてもSiH-M (M=Na, K, Rb, Cs)間に相互作用が存在し、アルカリ金属カチオンのイオンサイズの増大に伴ってその相互作用が減少することも分かった。 非経験的分子軌道計算の結果、テトラキス(ジメチルシリル)エチレン-ジアルカリ金属錯体で観測されるSiHアルカリ金属間の相互作用はヒドリド性の大きいケイ素上の水素とアルカリ金属カチオン間の静電的な相互作用によるものと考えられる。そのため、相互作用の大きさは金属カチオンの表面電荷密度に依存しており、イオンサイズが小さく、表面電荷密度が大きくなるジリチウム錯体で最大の相互作用を示していると理解することができる。 一方、アルカリ金属イオンとヒドロシリル基間の相互作用をより一般的な化学種に拡張して発現させるため、1, 4, 7, 10, 13-ペンタシラシクロペンタデカン、1, 4, 7, 10, 13, 16-ヘキサシラシクロオクタデカン等のクラウンエーテル様の化合物を設計、合成した。これらの化合物においてアルカリ金属カチオン取り込み能について検討した結果、固体状態でアルカリ金属イオンと錯化することにも成功した。
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