分子キャビティを活用した新規反応場の設計と高反応性化学種安定化への応用
Project/Area Number |
08740487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70262144)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 反応場 / 立体保護 / カリックス[6]アレーン / チオール / スルフェン酸 / スルフィン酸 / 酸化 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
bowl型分子キャビティに基づく機能性反応場の基本骨格として、側鎖に剛直なm-テルフェニルユニットを有する新規なbowl型置換基を開発した。この置換基は、簡便に合成できる非環式骨格を持ちながら、配座の剛直性のためにほぼbowl型構造をとることをX線結晶構造解析により明らかにした。この新規な反応場の高反応性化学種の安定化への応用の一環として、チオールの酸化反応における活性中間体の安定化について検討した。この骨格を持つチオールをヨードソベンゼンにより酸化したところ、安定なスルフェン酸を単離することに成功した。これは、チオールの直接酸化によるスルフェン酸の合成の初めての例である。また、骨格にヘテロ原子を含まないスルフェン酸としては初めて、X線結晶構造解析に成功した。このスルフェン酸にトリフェニルホスフィンを作用させたところ、元のチオールに還元された。種々のチオールとの反応では、対応する非対称ジスルフィドが得られた。また、オキサジリジン誘導体による酸化では、対応するスルフィン酸を与えた。このように、今回開発した置換基を立体保護基として活用することにより、有機硫黄化学における基本的な反応であり、生化学的な観点からもその重要性が指摘されていながらこれまでに証明されていなかった。チオールとスルフェン酸との間の酸化還元過程を明らかにすることができた。また、スルフェン酸からジスルフィド、スルフィン酸への過程についても直接的に示すことができた。架橋カリックス[6]アレーン骨格に基づくbowl型反応場については、テトラヒドロキシ体およびテトラメトキシ体の構造について、X線結晶構造解析、NMR、分子力場計算などの手法に用いて検討し、それらの興味深い構造的特性、および動的挙動を明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)