Project/Area Number |
08740491
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 健二 筑波大学, 化学系, 講師 (40225503)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 水素結合 / ポルフィリン / 3成分複合体 / 分子集合体 / 光合成電荷分離モデル |
Research Abstract |
光合成電荷分離モデルの最大の問題点は逆電子移動を如何に防ぐかである。そのためには、電子供与体-ポルフィリン-電子受容体から成る3成分系を構築することが望ましい。本研究では、水素結合に基づいた3成分系光合成電荷分離モデルの構築について研究を行った。具体的な成果を以下に示す。 (1)5,15-Bis(3-hydroxy-2-pyridyl)octaethylporphyrinの合成 5,15-Bis(3-hydroxy-2-pyridyl)octaethylporphyrin(1)の合成は、ルイス酸存在下、ジピロメタンと3-hydroxypyridine-2-carbaldehydeとの縮合反応により行った。ポリフィリン1はシス-トランス異性体混合物として得られるが、溶解度の差を利用して分離に成功した。 (2)シス-ポルフィリン1とゲスト分子との会合特性 シス-ポルフィリン1は電子受容体のデュロキノンと、前者の水酸基と後者のカルボニル基との水素結合を介し1:1の錯体を形成することを核磁気共鳴スペクトル(NMR)を用いた滴定実験により明らかにした。また、シス-ポルフィリン1は電子供与体の2,6-ナフタレンジオールと、前者のピリジル窒素原子と後者の水酸基との水素結合を介して1:1錯体を形成することを明らかにした。また、それらの会合定数は両者とも約700M^<-1>であることがわかった。また、シス-ポルフィリン1、デュロキノン、2,6-ナフタレンジオールの3者を混合することにより、水素結合による3成分複合体の生成を証明した。これは、非共有結合による電子供与体-ポルフィリン-電子受容体からなる3成分複合体構築の初めての例である。 (3)ゲスト分子によるトランス-1からシス-1への異性化 トランス-1は上記ゲスト分子によって容易にシス-1へ異性化して3成分複合体を形成することがわかった。これは、アロステリック性と2点水素結合の重要性を示す興味深い結果である。 今後は上記3成分複合体の光化学的挙動について研究を行う予定である。
|