ポルフィリン連結フラーレン化合物の合成と物性に関する研究
Project/Area Number |
08740495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今堀 博 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90243261)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | フラーレン / ポルフィリン / 人工光合成 / 光誘起電子移動 / 自己集合単分子膜 |
Research Abstract |
フラーレンの大量合成が可能となって以来、その特異な物性を明らかにし実用化しようという試みが盛んに行われている。特にC_<60>は良好な電子受容性を示し、その第1還元電位がベンゾキノンと同程度であることから人工光合成モデルの新しいアクセプターとして利用が期待される。またC_<60>が大きな球状の3次元分子であることから電子移動における形と大きさの効果を明らかにする格好のモデル系であるとも考えられる。そこでC_<60>とポルフィリンが共有結合で連結された化合物を合成しその光物性を検討した。蛍光寿命測定・時間分解過渡吸収スペクトルからベンゼン、THF、DMF等溶媒の極性によらず、亜鉛ポルフィリンの励起1重項からC_<60>へ効率よく分子内電子移動が起こることがわかった。しかしながら、ベンゼン中のイオン対のエネルギー準位がC_<60>のエネルギー準位より高いため電荷再結合を経てC_<60>の励起1重項状態を生じる。さらにポルフィリンのメソ位のフェニル基上の置換位置をオルト、メタ、パラ位と変化させた一連の化合物でその電子移動速度がメタ体で極端に遅くなることを明らかにした。この傾向はヒュッケル軌道計算により電子移動がスペーサーを通じた超交換相互作用であると解釈することで説明できた。またフラーレンが電荷分離を速くし、電荷再結合を遅くすることを対応するポルフィリン・キノン連結化合物との比較により世界で初めて見出した。この特異な現象はC_<60>が通常の電子受容体に比べて小さな再配向エネルギーを持つためだと考えられ、光合成類似の多段階電子移動系を構築するにあたり、理想的な合成有機分子部品であることがわかった。さらにこれらのポルフィリン・C_<60>連結分子を金表面上に自己集合化させた修飾電極からなる有機超薄膜湿式太陽電池の開発にも成功した。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)