Research Abstract |
本研究において、既にトリエン体の分子内不斉Diels-Alder反応をキ-ステップに用いたチュベロステモニン類に共通な三環性重要中間体の高立体選択的構築法を確立している。そしてこの共通重要中間体から官能基を適当に変換後、分子内N-アルキル化法によりアゼパン環を収率良く構築することができ、天然物ステニンを光学活性体として全合成することに成功した。 次に、同じ合成中間体から天然物チュベロステモニンを合成する際に問題となるC, E環部の構築法をモデル化合物を用い検討した。即ち、D環部に相当する化合物としてプロニンを出発物質とし、C環構築に必要な側鎖の延長を行い、Ruを触媒として用いるプロリン環の酸化反応によりE環部の導入に必要なN-アシルN, 0-アセタールを調製した。そして我々がイミニウムイオンとシリルジェノールエーテルとの付加反応において、既に見い出しているthreo選択的な条件、即ちジエチルエーテル中-78℃でLewis酸としてTMOSTfを用いて付加反応を行ったところ、望む立体配置を有する付加体を高立体選択的に得ることに成功した。最後に上記と同じ方法によりC環を構築し、C, D, E環部の合成法を確立した。 次に、実際の合成中間体について同条件下シリルジエノールエーテルとの付加反応を行ったところ、ほぼ1:1の比率で付加体を得た。現在、これらの付加体の立体配置の決定及び立体選択性の向上を検討中である。さらにチュベロステモニン類の合成法が確立すれば、種々の類縁体を合成して、天然物、類縁体、合成中間体等の神経系に対する生理活性試験を行い構造活性相関も探る予定である。
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