Project/Area Number |
08740521
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
張 世偉 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (60263323)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 白金-カルベン錯体 / 分子内メタレーション / 金-カルベン錯体 / 有機金属液晶 |
Research Abstract |
ビス(イソシアニド)白金錯体と1級アミンとの反応ではオルトメタレーションの伴ったビス(カルベン)白金錯体が得られた。これらの新規な錯体の生成過程を詳細に検討した結果、ビス(イソシアニド)白金錯体のイソシアニド配位子にあるベンゼン環上の電子密度はこのメタレーション反応に強く影響を与えることがわかった。例えば、強い電子吸引基のパラニトロを有する錯体を用いた場合、反応はメタレーションが起こらずビスカルベンにとどまった。逆に電子供与基の3、5-ジメトクシを有する錯体では反応が速やかに進行した。更にこの反応について精査するために、種々のビスイソシアニド錯体を用いてプロピルアミンとの反応を^1HNMR測定により追跡した。それぞれ反応の半減期を纏めた結果、メタレーション反応速度の速さの順番が明らかとなった。即ち、電子吸引基の場合は反応がほとんど進行しないのに対して、電子供与基の場合においてはいずれも反応が進行し、さらに置換基の電子供与性が強ければ強いほど反応がより速やかに進む傾向が見られた。 一方、液晶性金-カルベン錯体についてそのカルベン配位子の2つのベンゼン環をつなぐ連結基と液晶性の相関について調べた。エステル基を有する金-カルベン錯体1以外に連結基を逆向きのエステル基(錯体2)、アセチレン(錯体3)、エタン(錯体4)それぞれに変換し、それらの相転移挙動を検討した。金-カルベン錯体2は全てモノトロピックなスメクティック相を示した。アセチレンを連結基に持つカルベン錯体3は、n=8,m=2,3でモノトロピック液晶性を示したが、もはやn=10では、液晶性は示さなかった。相転移温度低下による分解の回避を狙って、連結基をエタンに変換してみたが、残念ながらこの錯体4は融点を示すのみであった。以上4種の連結基の検討を行い、エステル基を有する金-カルベン錯体1が最も優れた液晶性を示した。
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