メタンモノオキシゲナーゼによる酸素活性化機構の解明に関連する二核鉄錯体の合成
Project/Area Number |
08740527
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小寺 政人 同志社大学, 工学部, 助教授 (00183806)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | 二核鉄錯体 / メタンモノアキシゲナーゼ / パーオキソ中間体 / FAB massスペクトル / 共鳴ラマンスペクトル |
Research Abstract |
従来から、ヘメリトリンやメタンモノオキシゲナーゼ(MMO)などの機能モデルを構築するためには、溶液中で安定なμ-oxo-di-μ-acetatodiiron(III)錯体が必要と考えられ、その合成が試みられてきた。このためには架橋基を持たない二核化配位子が必要である。しかし、このタイプの二核化配位子を用いて鉄錯体を合成すると、二核錯体は得られず四核錯体が生成してしまう。一方、我々は、架橋基を持たない二核化配位子としてヘキサピリジン配位子を合成し、世界で始めて二核化配位子によるμ-oxo-di-μ-acetatodiiron(III)錯体(1)の合成に成功した。 化合物1は溶液中で安定であり、二核鉄錯体を活性部位に持つタンパク質の機能モデルとなることが期待された。実際に、1はm-クロロ過安息香酸(m-CPBA)を酸化剤とするアルカン類の水酸化を触媒しMMOの機能モデルとなることを見いだした。この系はMMOの反応性を忠実に再現することから、反応の活性種はMMOの活性種と類似していることが予測された。そこで、1を用いたアルカン水酸化反応の中間体の検出を試みた。まず初めに、m-CPBAを酸化剤とする系で中間体の検出を試みたが、反応が早すぎて中間体を検出することはできなかった。過酸化水素を酸化剤として用いた場合にもアルカン類の水酸化反応を触媒するので、1と過酸化水素との反応からも中間体の検出を試みた。塩化メチレン中で1に過酸化水素を加えるとアルカン水酸化と同時に過酸化水素の不均化反応が進行し、新たな化学種は検出されなかった。一方、アセトニトリルを溶媒として用い、少量の塩基を加えると、不均化反応は進行せず、600nm付近にブロードな吸収を示す新たな錯体2が生成した。共鳴ラマン、FAB mass、電子スペクトなどを用いてこの構造を調べた。FAB massスペクトルから、2は1から酢酸がはずれてパーオキシド(O-O)が結合した錯体であることがわかった。さらに、高分解能FAB massスペクトルから、2の組成が明らかになり、O-Oの存在が支持された。2の共鳴ラマンスペクトルは、O-O伸縮振動バンドを815cm^<-1>に示した。^<18>O_2の同位体シフトも確認された。従来の二核鉄パーオキソ錯体は、900cm^<-1>付近にO-O伸縮振動バンドを示すことから、2のO-Oが従来の錯体と異なる特異な結合様式を持つことが示唆された。今年度の研究によってMMO機能モデル系において、二核鉄パーオキソ中間体の検出及び単離に成功した。以上に関連して2報の論文が掲載された。今後は、二核鉄パーオキソ錯体の結晶構造解析、及び、O-Oの活性化によるアルカン水酸化の反応機構解明を試みる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)