伝導性・磁性の両方から興味が持たれる新規ドナー分子の開発
Project/Area Number |
08740553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
機能・物性・材料
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内藤 俊雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (20227713)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 伝導性 / 磁性 / 新規ドナー分子 / 分子性金属 / 有機磁性体 |
Research Abstract |
上記の課題名で1年間研究を進めてきた結果、その目標の条件を満たした新規ドナー分子が合成された。この分子は遷移金属や希土類元素などの常磁性金属イオンを中心金属とする錯体であり、その特徴は、有機伝導体の歴史の中でも最も興味ある物性データを提供し続けてきたBEDT-TTF分子と二つのシアノ基を配位子に持ったアニオンだということである。分子全体の大きさや形状はBEDT-TTFそのものとさほど変わらないため、固体(結晶)中でBEDT-TTF側はこれまでのように自己集積し、高密度の硫黄原子同士の多次元ネットワークを組むことが期待される。これは分子軌道計算の結果からも支持される予想である。つまりBEDT-TTFを配位子とすることにより、まず高い伝導性を確保しようとした。次にこの錯イオン全体は負の電荷を持つため、正の電荷を持つイオンをカウンターイオンとして結晶化する。このときシアノ基が二つあることにより、金属イオンが共存すれば配位結合を形成して積極的に結晶中に金属イオンを取り込むことが期待される。つまりシアノ基は、中心金属とカウンターイオンの金属とを架橋して結ぶ役割を期待されている。もしこれら二種の金属イオンのスピンが異なれば、この両者の磁気的相互作用のいかんに関わらず固体全体としては強磁性を示すことが期待される。こうして有機分子性物質としては初の金属的導電性とバルク強磁性を兼ね備えた固体をめざしている。また、本研究によって開発された新規ドナー分子は、その分子構造上の特徴により、多数の、これまでにドナーにない優れた特質を実現している。例えば、溶解度が高く、それもカウンターイオンによって変えられる点、酸化電位がBEDT-TTFよりもはるかに低い点、BEDT-TTFと金属イオン上のスピンとの相互作用を確保している点、二種類の金属イオンを導入でき、それらの間の相互作用の確保している点などである。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)