細胞増殖及び色素体分化にともなう植物ミトコンドリアゲノムの機能的分化
Project/Area Number |
08740612
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
植物生理
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 敦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30235098)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 色素体 / 色素体核 / タバコ / 転写 / DNA合成 / BY-2 / ミトコンドリア / ミトコンドリア核 |
Research Abstract |
タバコ培養細胞BY-2からミトコンドリア核を単離する手法を確立した。この際、細胞核と色素体核も同時に単離することができる。対数増殖期の細胞約10^9個を出発材料とした場合、ミトコンドリア核の収率は5%で、収量は80μgDNAであった。サザンハイブリダイゼーションにより細胞核DNAおよび色素体DNAの混入率を測定した結果、単離ミトコンドリア核の純度は98%であった。分化にともなうミトコンドリアゲノムの機能変化を明らかにするために、タバコ緑葉からミトコンドリア核を単離する方法の開発も行っているが、収量の点でなお改善が必要である。BY-2から単離したミトコンドリア核を適当な条件下でインキュベートすると、[5,6-^3H]UTPを高分子画分に取り込む活性を示す(7pmol/μgDNA/hr)。この活性はDNAおよびタンパク質に依存したRNA合成であり、アクチノマイシンDやEB、N-ethylmaleimide、ヘパリンにより阻害されるが、α-アマニチン、リファンピシン、タゲチトキシン、ナリジキシン酸、及びノボビオシンでは阻害されない。in vitroで合成されたRNAは、ミトコンドリアDNAと特異的にハイブリダイズした。単離ミトコンドリア核はまた、[5-^3H]dCTPの取り込み活性も示す(48pmol/μgDNA/hr)。この活性はDNAおよびタンパク質に依存したDNA合成であり、アクチノマイシンDやEB、N-ethylmaleimide、ddCTP、ヘパリンにより阻害されるが、アフィデイコリン、ナリジキシン酸、ノボビオシンでは阻害されない。in vitroで合成されたDNAの制限酵素解析の結果、DNA合成はミトコンドリアDNAの全領域にわたって起きていることが明らかになった。また、ミトコンドリア核構成タンパク質をSDS-PAGE後、ゲル内DNAポリメラーゼアッセイにかけたところ、分子量約116kDaのDNAポリメラーゼが検出された。本研究の結果、単離ミトコンドリア核のDNA合成反応の至適条件や各種阻害剤に対する応答、DNAポリメラーゼの分子量などは、単離色素体核のそれらと極めて類似していることが明らかになった。この色素体及びミトコンドリアのDNA合成装置の類似性は、両オルガネラのDNAの合成が、細胞増殖初期にそろって活性化される機構を説明するものかもしれない。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)