Project/Area Number |
08740670
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
系統・分類
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
瀬戸口 浩彰 東京都立大学, 理学部・植物系統分類学講座, 助手 (70206647)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | Agathis / Araucaria / Araucariaceae / rbcL / phylogeny |
Research Abstract |
Araucariaceaeナンヨウスギ科はAgathis(ナンヨウマキ属)、Araucaria(ナンヨウスギ属)、Wollemiaの3属約33種から構成される裸子植物である.Agathisは白亜紀以降に南半球のみに出現し、約15種の現生種が、オーストラリア、ニュージーランド、ニューカレドニア、フィジ-、ニューギニア、のほかセレベス、ボルネオなどの東南アジアに分布する.化石は南半球(南米を含む)だけに分布することから、その遠距離隔離された分布パターンはゴンドワナ要素として古くから関心を集めてきた.本研究ではAgathisのほぼ全種10種とAraucaria全種(19種)、合計29種を対象にして、葉緑体DNA上のrbcL遺伝子の塩基配列を決定して系統解析を行った.その結果以下の事項が明らかになった. 1.AraucariaとAgathisは各々単系統群となる. 2.Agathis内部の系統は、ニューカレドニア固有種、東南アジア〜ニューギニア分布種、フィジ-〜オーストラリア分布種の多分岐となった. 3.ニューカレドニア固有種4種は単系統である.各種は形態的に十分な差異を呈するが、種間での塩基配列の相同性は100%に近い非常に高い数値であった. 4.Araucariaではsect.Intermediaとsect.Araucariaから成るクレードが最初に分岐する.これらの節は化石が第三紀以降に出現することから、現生のAraucariaは第三紀(北半球での絶滅の後)に南半球で分化を起こし、ゴンドワナ大陸の分断に伴って分布域を広げたものである可能性がある。 5.Araucariaの現生種19種のうち13種を占めるニューカレドニア固有種は単系統である.各種は形態的に大きな差異を呈するが、種間の塩基配列の相同性は100%に近い非常に高い数値であった.ニューカレドニアおけるAraucariaは、Agathisと同様に、単一/少数祖先種に由来しており、島内部で急速な適応放散を遂げる種分化を起こしたものと推測される. 以上の研究成果は1997年1月にチリ共和国バルディビアにて開催された南半球の動植物学に関する国際シンポジウム「The 2nd Southern Connection Congress」にて発表し、現在投稿の準備中である.
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