Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
工業製品・ソフトウェアの品質と同様,数値シミュレーション等において数値計算結果も一種の「製品」とみなされる状況では,計算結果に対する「品質」の管理も重要である.計算結果に対する要求制度に応じて,計算を制御することが必要となるからである.そのためには,「高速自動微分」,「区間演算」などの新たな接近法が必要である.研究代表者自身は,以前からこの方向に沿った分野を研究してきており,これまでに,「自動微分・高速自動微分」を発展させ,数値計算における「数」の多様性(浮動小数点数,精度・指数部可変浮動小数点数,自動微分用の数など)に着目した実験システムの構築を目指している. 本研究の目的は主として2点あった.ひとつは,数値計算結果の精度保証の自動化の仕組みの技術を発展させ,数値計算の結果の「品質」を保証し,管理できるシステムを設計することである.具体的には,数値計算結果の自動精度保証を基礎として,それを実際に支援するための効率の良いC++クラスライブラリの設計・開発である.もうひとつは,理論面での研究であり,多様な「数のデータ構造」を用いる技術の効率の良い実現法を検討し,数値計算用の「数」として,何を用い,どの精度保証の手法を用いるべきであるかというデータ構造選定の自動化の確立であった.結果は以下の通りである.C++用に開発していたライブラリプログラムの一部をFORTRAN90のモジュールに書き換えた.高速自動微分用プリプロセッサについて他に無い特長として2階微分係数まで計算できることと,1階微分係数自身に含まれる誤差も計算できることを強調し,国際会議で発表した.現存数式処理システムとの比較のために,Mathematicaを用いた計算の品質保証の数値実験を行なった.また,当初研究予定の使い勝手のよい「グラフイカルユーザインタフェース」を備えた処理系の設計には至らなかった. なお,計画どおりワークステーションを購入し,数値実験を行ない,8月には統計数理研究所主催の国際シンポジウム「最適化と計算」にて発表し,11月には九州大学中尾充宏教授主催の研究集会「新しい科学計算技法とその誤差解析」にて発表した.
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