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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
離散転位動力学法(Discrete Dislocation Dynamics ; DDD)を用いて,多数の個別の転位のダイナミクスの直接シミュレーションを実施することにより,き裂先端近傍のメゾスケール領域において理論的にも予測され実験においても観察されている無転位領域の形成過程とその安定性を調べ,さらに,これらの微視的な転位分布構造が応力拡大係数を遮蔽し見かけ上の破壊じん性値に影響を及ぼす点に着目し,そのメカニズムについて検討を行なう目的で研究を推進した結果以下のような独創的知見を得た. 1.外力が作用する下での転位の運動に関して,分子動力学法を用いたシミュレーションにより外力と転位速度にある関係があることを示した.さらに,この関係を表現する方程式を記述した. 2.バルクモデルに対して離散転位動力学シミュレーションを実施し,転位壁の形成などの転位群の基本的な特性を調べた. 3.き裂を導入したモデルに対して,離散転位動力学シミュレーションを実施し,転位分布によって応力拡大係数が遮蔽される場合と増幅される場合があることを明らかにした.さらに,混合モードが形成される可能性について示唆した. これらの結果から,離散転位動力学法を用いることによって転位分布構造を力学的に扱い,同時に,その分布構造によって力学的特性の変化を追跡できることがわかった.本手法は,スケール依存型の延性ぜい性遷移メカニズムの解明といったテーマに対して有効であると考えられ,現在計画中の研究の展開によって,これらの現在未解決の問題に対して工学的に有益な成果をもたらすことが期待できる.
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