Research Abstract |
ターボポンプ軸受は液体燃料ロケットエンジンにとってきわめて重要な部品であり,性能・寿命・信頼性の限りない向上の追求が肝要である.従来使用されているボール軸受を,潤滑性と耐久性,経済性に優れ,小型・軽量で構造が簡単なハイドロスタティックジャーナル軸受に置換する研究・開発が進められているが,その特性は明らかにされていない. 本研究は多数のリセスが2列千鳥状に配置されたハイドロスタティックジャーナル軸受を解析対象とし,特に重要な問題となるロケットエンジン起動・停止時において軸受差圧が大きく変化する場合の軸受特性を数値解析により明らかにしようとするものである.平成8年度において得られた結果の主たるものは次のようである. 実機のターボポンプ特性に基づき,ロケットエンジン起動時のジャーナル回転数の増大に伴い供給圧が上昇し軸受差圧が変化する場合について軸受特性を解析した.無次元リセス圧は,低回転数域ではジャーナル回転数の増大に伴い減少し,高回転数域では次第に上昇する.無次元全流出量は回転数の増大に伴い減少する.無次元弾性係数の主方向成分は低回転数域では減少し,高回転数域ではほぼ一定である.無次元弾性係数の連成成分は回転数の増大に伴い減少する.無次元減衰係数の主方向成分は回転数の増大に伴い増加するが,きわめて高回転数域では減少する.上述した軸受特性は回転数により大きく変化するのに対し,ホワール比は回転数の増大に伴いわずかに減少するがその変化は大きくないことが明らかとなった.
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