Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
報告者は,概念設計における設計者の個性,すなわち主観的価値観が,複数の価値基準に基づく設計候補の評価において,それらの重視の度合に表されると考えた.ここで,単一の価値基準に基づき設計候補を各々作成するエージェントと呼ぶ遺伝子的個体群を用い,これら複数エージェントの候補提示に対する適合度の調整を,設計者の意思決定の観察により設計支援と同時に行うことで主観的価値観を獲得していく枠組を提案した.このとき遺伝的アルゴリズムにおける個体形質の交叉の考え方をもとに,各エージェントを形成する個体群からの子個体生成として候補生成をとらえた.また,知識ベース推論に基づく設計支援過程において,過去になされた設計事例に基づく類似候補をも提示可能とする枠組によって,多様な設計可能性を設計者に示唆することを可能とした. 橋梁構造物の概念設計を例にとりあげ、計算機上に提案した枠組に基づく設計アシスタントシステムを構築し,意思決定の傾向の異なる2人の設計者を想定しケーススタディを行った.その結果,それぞれの設計者に対する支援を行っていくと共にアシスタントシステムの提示する設計候補が異なる傾向がみられ,ここで提案した枠組が設計者の個性の考慮に有効であることが分かった.また,遺伝的アルゴリズムの確率的な個体生成として候補生成をとらえ,個体群全体の集団形質の推移として個性化をはかったために,設計者が意思決定を行った局面とは異なる場合においても設計者の固定が候補提示に反映されること,及び必ずしも評価値が最大ではない設計候補も提示され得ることを確認した.これらは,人間の創造的活動である概念設計の,より柔軟な支援を実現するための1つの手段として有用なものであると考えられる.
|