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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
粒径がミリオーダである中空液滴および固体球殻は直接接触型熱・物質交換器や浮遊性低コスト触媒などに応用することができ,工業的付加価値が非常に高い.ここでは,独自の発明による気-液-液系中空液滴連続生成装置をさらに発展させるため,液体中を上昇する中空液滴が崩壊し,内部気泡と球状液膜が分離する非常に複雑な現象を理論並びに実験の両面から研究した.この崩壊現象は,薄液膜のラプチャー現象等分子運動論に基づくミクロな現象と密接に関連している.実験的研究では,種々の液体材料を用い,中空液滴の生成が不安定な液-液系ならびに装置の運転条件を選定し,上昇運動中に崩壊する中空液滴の挙動をデジタル高速度ビデオ撮影した(一秒間に40500コマ撮影).中空液滴界面に小さな穿孔が発生し,それが非常に大きな速度(毎秒数十メートル)で広がる様子が撮影された.本現象は,分子間引力が支配的な超高速現象であることが明らかになったので,理論的アプローチとして分子動力学に基づく球状液膜の破断モデルの構築を行った.数値解析の結果,穿孔の広がる速度に関し,定量的には良い一致が得られず,今後に課題を残したが,分子運動論の立場から中空液滴界面の崩壊挙動が定性的に良く説明できることを明らかにした.得られた研究成果は国内外の専門学会において公表すべく,現在準備中である.なお,ここで開発された光学的測定技術,分子運動論的界面流動現象へのアプローチ手法および数値解析手法は,液体微粒化現象(薄液膜に穿孔が発生し,それが急速に広がって崩壊に至る現象)や赤血球(中空液滴の薄液膜モデル)の流動解析などに応用され,専門学会から高い評価を得ている.
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