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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,ディーゼル機関内の高温高圧雰囲気中の間欠高圧噴霧燃焼を対象に,先立ち噴射などの噴射率制御が燃焼および排気特性に及ぼす効果を実験により示し,主噴射の着火遅れ,局所温度,燃料濃度,燃焼生成物の分布などを流体力学・化学動力学的計算機シミュレーションによって解析して分割噴射の既燃ガス還流による窒素酸化物NOxの低減作用や後期撹乱による黒煙低減作用を示すことを目的として行った. 1.申請者が開発した電磁油圧駆動スプール加速式高圧噴射系を先立ち噴射や初期噴射率の抑制が行えるように改良し,単気筒小形直接噴射式ディーゼル機関によって運転試験を行い,燃焼および排気特性を系統的に調査した.実験の結果,先立ち噴射などで主噴射の初期噴射率を抑制すると,NOx排出量は低減するものの,排気黒煙濃度が増加する.しかし,主噴射の圧力を100MPa以上に高圧化することによって,黒煙濃度が減少することが明らかになった.このことから,初期噴射率抑制は初期燃焼により生成される乱れエネルギーが減少するため,燃焼後期で混合不十分となって不完全燃焼を引き起こす.そのため,噴射後期の圧力を高めると,燃焼後期で燃料と空気の微視混合が強化され,黒煙の酸化が促進すると推察した. 2.次に,50の化学成分を考慮した化学動力学計算によって,先立ち噴射による既燃ガスが主噴霧に誘引された状況をモデル化し窒素酸化物の生成/消滅に及ぼす作用を調べた.その結果,先立ち噴射の燃焼によって生じた既燃ガスによって主噴射の着火遅れは短縮されるものの,既燃ガス成分による熱容量の増加によっNOxが低減され、NH_3などによるNOx低減作用はほとんど見られないことが明らかになった.一方、シリンダ内旋回流や乱れ強さなどが既燃ガス誘引度,局所熱発生率および火炎温度などに及ぼす影響を,開発中の噴霧燃焼の数値流体力学的シミュレーションによって解析中である.
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