Research Abstract |
研究代表者は,微笑物体や薄箔材など従来,輸送が困難であるとされてきたものを対象とする,以下のフィーダ試作した.波動面の一端を励振し,伝播してきた波を,伝播するのに要する時間分だけ位相ずれを与えて他端を振動させることで,能動的に反射波を抑えて進行波を発生させる駆動方式を利用して,波動面に軟らかい物性のものをコーティングした波動面を用いるリニアフィーダを試作した. ・実験装置:波動面は等間隔にスリットを設け,曲げ剛性を低くした軟鋼板を用い,搬送面である波動面上全面に厚さ0.18mmのシリコンシートを貼付け,表面のみが軟らかいハイブリッドな波動面とした.バイモルフ型振動子を用いて一端を励振させた時の両振動子の位相遅れの差だけ位相がずれるように,他端の励振電圧の位相を,移相調節入力が可能なマルチ計測器(新規:コンテック,DOC(98)-P01)で入力し,駆動した.測定は,リターダで入力信号を一定時間遅らせてストロボスコープを発光させ,波動面の各点の複振幅と駆動周期の1/6毎の変位を読み取り顕微鏡で測定する一方,静電容量型変位計からの振動子の先端たわみ信号をマルチ計測器で取り込み,入力振幅と進行波発生条件との関係について調べた. ・基礎的搬送実験:薄物として金属箔の搬送を行い,波動面上の38mm区間の移動に要する搬送時間から,搬送速度求めた.ワークの質量,厚さに関わらず,搬送速度は両端振幅にほぼ直線的に比例し,銅箔(t2μm×10×10mm,4mg)を用い,両端複振幅64μm,駆動振動数1.66kHzおよび上述の測定より得た入力の位相ずれφ'=-142°で最大搬送速度60.6mm/sを得た.入力する位相遅れを入れ替えると,進行波は逆方向に進行し,ワークも逆方向に搬送され,同一振幅では入力を入替える前とほぼ同じ搬送速度を得た。波動面両側端の振動子の共振点が一致すれば,シンク側は伝播してきた波動で共振するために,ソース側振動子の駆動だけでも反射波をある程度抑えた進行波の発生が可能であった.
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