Research Abstract |
1.研究の準備状況と目的 交流発電機は,負荷が変化すると出力巻線のインピーダンス降下や内部磁場の変化などによって出力電圧が変動する。本研究の最終目的は,発電機の構成を工夫し,発電機自体が負荷変化に応じて自動的に電圧変動を「自己補償」し,出力電圧の変動が小さくできる新しい交流発電機を開発することにある。 申請期間では,既に考案済みの同期形と誘導形の2種の交流発電機について,その動作特性を実験により検証し,性能分析と評価を実施した。併せて,両発電機の理論を構築した。 2.研究の実施概要及び成果 (1)三相同期発電機;1kVAの試作発電機を用いて出力特性を検討した。その結果,開発した構成法によれば負荷変化に応じて回転磁極を自己制御でき,抵抗負荷に対して無制御でほぼ一定の出力電圧が得られることを確認した。また,本発電機は,出力巻線が作る反作用磁場を利用して回転磁極を励磁するため,速応性にも優れ,良好な過渡特性を示すことが判明した。さらに,磁気回路と電気回路の双対性を利用して発電機の回路モデルを構築し,これによる特性算定法を開発した。 (2)単相誘導発電機;2.2kWの三相かご形誘導機を用いて出力特性を検討した。その結果,開発した構成法によれば負荷変化に応じて発電機の進み電流(励磁電流)が自己制御でき,抵抗,誘導負荷ともに無制御でほぼ一定の出力電圧が得られることを確認した。また,本発電機は三相機を単相機に転用して構成するため,従来機のように固定子磁場が交番せず,運転中の振動,騒音も大幅に軽減できることが明らかになった。さらに,対称座標法を用いて発電機の回路モデルを構築し,これによる特性算定法を開発した。 以上の成果は,上記2種類の交流発電機の設計の際に有用な基礎データ及び理論を与えるものである。
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