Research Abstract |
1.レーザアブレーションによる高品質YBaCuO超伝導薄膜の作製 エキシマレーザならびにYAGレーザの4倍高調波を用いたレーザアブレーションの実験を行い、基板温度、ガス圧、ガス流量、ターゲット基板間距離、レーザ出力、基板材料等の条件が膜質に及ぼす影響について詳細に調べた。その結果、条件を最適化することで、SrTiO_3,LaAlO_3,MgO基板上に高品質YBaCuO薄膜を得た。得られた膜の臨界温度(T_c)、および77K 零磁場中での臨界電流密度(J_c)はそれぞれ、T_c=92K,J_c=4-5×10^6A/cm^2(SrTiO_3);T_c=90K,J_c=1×10^6A/cm^2(LaAlO_3);T_c=88K,J_c=5×10^5A/cm^2(MgO)である。また、YBaCuO超伝導層/SrTiO_3絶縁層/YBaCuO超伝導層の多層構造の作製条件を確立した。 得られた膜の超伝導特性をさらに詳細に調べるため、実用上重要となると考えられる次の2点について重点的に実験を行った。 2.YBaCuO薄膜の磁束ピン止め特性の評価 超伝導体の磁束ピン止め特性の解明は、高電流密度化、磁束雑音の低減、電流-電圧特性の理論表式の導出など、実用上極めて重要となる。上述した薄膜を用い、電流-電圧特性の温度・磁場依存性を10桁以上の広い電界領域に亘って詳細に計測し、理論的考察を加えることによって、臨界電流の統計的局所分布を明らかにすると共に、輸送特性の温度・磁場依存性を定量的に記述する理論表式の導出に成功した。 3.YBaCuO薄膜のマイクロ波特性の評価 移動体通信用の高周波素子として需要が期待される YBaCuO高温超伝導薄膜の高周波損失、磁場侵入長等、高周波領域における基礎的パラメータの測定を行った。
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