Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,人間の手先インピーダンス特性を実験的に計測し,その数理モデルの構築と人間-ロボット協調作業系への応用を試みた.主要な結果は以下の通りである. 手先インピーダンス推定モデルの構築 人間の手先インピーダンスを計測するためには,作業中の人間の手先を外部から強制的に変位させ,発生する力を正確に測定せねばならない.本研究では1軸インピーダンス推定装置(開発済み)を用いて作業中の被験者の手先に強制的な変位を与え,手先のインピーダンスを同定するという方法をすでに開発している.しかしながら,この方法では人間の手先を強制的に変位させるため,被験者が行っている作業との干渉を避けることができない.そこで,作業中の被験者の筋の収縮レベル(EMG信号から推定),上肢姿勢を計測し,手先インピーダンスとの関係を最小自乗法を用いてモデル化した.そして多項式近似を用いることにより,生体信号から手先インピーダンスをかなりの精度で推定できることを示した. 人間-ロボット協調系の動特性解析 ダイレクトドライブ型リニアモータを用いて,ロボットおよび種々の作業対象物を模擬し,人間-ロボット協調作業系を模擬的に構成した.まず,ロボットの手先にインピーダンス制御を施し,インピーダンスパラメータを調節可能な制御系を開発した.次に人間を制御者とする補償型マン-ロボット制御系を構成し,系全体の制御特性を特に動特性の観点から実験的に推定した. その結果,制御者の伝達特性が,1)ロボットのインピーダンスパラメータ,2)上肢姿勢,3)作業方向により大きく変化することを示した.ただし系全体の開ループ特性はある程度の実験条件の変動には左右されず,人間が系全体の動特性をほぼ一定に保つよう自らの特性を適応的に変化させていることを明らかにした. 今後は,人間のインピーダンス特性を3次元的な腕姿勢や反射系の働きまで含めて詳しく解析するとともに,構築したインピーダンスモデルを人間-ロボット系で積極的に利用する方法を開発できればと考えている.
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