Research Abstract |
本研究は,平成7年度科学研究費奨励研究A(#07750513)で行なった予見制御に関する研究をさらに発展させたものであり,系の不確かさと予見情報を合理的に処理する制御法の開発を試みた.本年度は,1)ロバスト予見制御系の構成,2)ロバスト性の検討,3)柔軟構造物の大振幅制御法の開発,の具体的な課題について以下の結果を得た. 1)制御対象の不確かさを克服する予見制御系の構成:予見制御系の不確かさをH^∞制御の立場から定式化し,目標値に対する追従誤差の予見的抑制と不確かさに対するH^∞外乱抑制を達成する制御則を導いた.そして,制御器が有限次元の演算から直接構成できることを示した. 2)ロバスト制御性能の解析:1)で得られた制御系に対して,与えられた目標軌道への追従を最も劣化させる系の不確かさを陽に導いた.そして得られた結果が,初期値変動を考慮したH^∞制御問題と共通した解を与えることを明らかにした. 3)柔軟構造物の大振幅制御法の開発:柔軟構造物の大振幅制御は,不確かな振動モードを含む系を予め定めた目標値に追従させる問題であり,系の安定性と良好な過渡特性が同時に要求される.本年度は実際に実験モデルを作成し,ビームの位置決め制御における予見制御の効果を検討した.実験結果から,予見補償を導入した場合,高次モードの励起が少なく,整定時間をより短くできることを確認した.今後は,高次モードをどのように定式化するとスピルオーバに対するロバスト性と目標値への追従特性の調整が可能になるか検討する. 現在,3)に関して残されている項目の実験を進め,一般の予見制御系におけるロバスト制御性能の解析法を調べている.
|