Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
従来の波浪予測法としては,波浪推算法を用いる方法,重回帰モデルなどの統計的手法を用いる方法などがあるが,これらには主として利用の簡便さに関する問題が残っている.本研究では,従来の波浪予測法よりも簡便で,かつ必要十分な精度をもつ予測法の開発を目的として,観測データのカオス性に基づく予測法(決定論的非線形予測法)に着目した.この方法を用いるためには,まず時系列データのカオス性の有無を判定する必要がある.本研究では,時系列データから時間遅れ座標により軌道を再構成し,この軌道の幾何学的特性および力学的特性を調べることにより,もとの時系列データのカオス性を判定した.軌道の幾何学的特性には相関積分による方法を用い,力学的特性はリアプノフ指数を求めることにより評価した.解析の対象としたのは,運輸省港湾局が観測した有義波高のデータであり,本研究ではそのうちの福井港,鳥取港および宮崎港で観測されたものを用いた.何れのデータの場合も,カオス性があると判定できたため,決定論的非線形予測法を用いて有義波高の予測を試みた.この予測法では,まず時系列データが決定論的な非線形力学系より生じたものであると考える.さらにこの力学糸の状態変化を支配する法則を時系列データから逆に推定し,これを用いて予測を行う.本研究では,再構成した軌道を小さな区間に分けて,それぞれの区間ごとに局所的な支配法則を推定する方法を用いた.局所的な支配法則の推定法としては,局所ファジイ再構成法を用いた.これにより,6時間後および12時間後の有義波高の予測を行った.また,予測値が観測地に対して一定の範囲内にあれば予測が的中しているものとし,的中数の全予測数に対する割合で予測精度の評価を行った.その結果は,本研究で用いた方法の波浪予測への適用可能性を示すものであった.
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