極微量環境汚染元素の土壌中化学形と易動性に関する研究-クロマトグラフィ分離とICP-質量分析装置の結合-
Project/Area Number |
08750668
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil and environmental engineering
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (90178145)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | ICP-質量分析装置 / 微量元素分析 / 化学的存在形態 / 水銀 |
Research Abstract |
かつてメチル水銀による大規模な中毒事件が発生した熊本県水俣湾の水銀の一部は、隣接する八代海に拡散したと言われている。本研究では、八代海の底質中の微量(70ppb)および汚染に由来する水銀(5ppm)をICP-質量分析装置(以下、ICP-MSと略称)により測定し、水銀の易動性を検討した。 [測定技術]水銀のICP-MSによる測定は、標準的な運転条件下では、接液部に水銀の著しい吸着を生じ(メモリ効果)、数百%以上の測定誤差を生じた。装置条件を検討の結果、接液部をテフロンチューブおよびガラスとし、試料液に金を添加することで、メモリ効果を最小限に抑制できた。試料に還元剤を添加して水銀蒸気を発生させICP-MSに導入する方法についても検討の結果、有機溶媒の試料液への添加によりメモリ効果を抑制できた。クロマトグラフィとICP-MSとの直接結合は、装置の運転条件を調整の結果、可能になった。しかし、メチル水銀分離のためのクロマトグラフィ溶離液のICP-MS導入は、同装置の運転に問題を生じたため、導入装置を改良中である。[測定結果]上述の測定手法により、3種の土壌標準試料中の水銀について100±3%の良好な回収率を得た。そこで八代海の約21の定点から1990、1993、1994、1995、1996年に採取した堆積物約100試料の水銀濃度を測定した。その結果、過去7年間の水俣-八代海域では、過去に濃度の高い水銀汚泥を蓄積していた水俣湾外側の底質が周辺海域に再分配されることによる、水銀の拡散が生じていることが判明した。水銀の易動性は、鉛・希土類等の元素と比べると大きかった。水銀の輸送機構としては、水銀を吸着した粒子状懸濁物質の移動が考えられた。さらに、メチル水銀の測定から、堆積物中水銀の化学形態変換と、それに伴う水銀の脱離特性変化が水銀の拡散に影響する可能性も考えられ、今後さらに検討する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)