Project/Area Number |
08750682
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Building structures/materials
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
黄 一華 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (50262324)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 高張力鋼 / 溶接接合 / 応力勾配 / 繰返載荷実験 |
Research Abstract |
95年の兵庫県南部地震と94年のアメリカ・ノースリッジ地震における多数の鋼構造物の被害で共通して見られた現象は、梁端部の下フランジにおける溶接接合部あるいはその近隣部の破断である。その主な原因は同箇所の過大な塑性ひずみ集中や溶接部の靱性不足などと考えられる。これらの問題点を解決する方法として、最近普及しているDTS(Damage Tolerant Structure)耐震設計法がある。この耐震設計法の基本概念は、(1)梁・柱の主体構造が大地震を受けても常に弾性挙動を保つ、(2)地震入力エネルギーを構造物に組み込んだ各種の耐震要素によって吸収させる、ということである。よって、主体構造は健全な構造機能を維持し、損傷を受けた耐震要素を修繕あるいは取り替えるだけで、大地震後の復旧作業は経済的かつ迅速的に行われることが期待できる。また主体構造を高弾性骨組にするには、高い降伏点と大きな弾性変形能力を持つ高張力鋼を用いることが有効である。しかし、この場合過大な地震入力を受けたときの梁端フランジ溶接部が許容できる塑性変形の限界を確認することが必要である。本研究課題の目的は高弾性骨組の開発及びDTS耐震設計法の確立を念頭に置き、種々の鋼材を用いた梁端フランジ溶接部をモデル化し、引張と圧縮の繰り返し載荷実験を行い、その力学的性状を明らかにすることである。本実験研究に用いた鋼材は、SS400、SM490、HT590、HT780、MHT590、及びMHT780の6種類である。梁端フランジ部のひずみ集中を模擬するため、変断面の試験体を用いた。また、梁フランジと柱フランジに異種鋼材を使うことや、柱フランジと梁端溶接部の塑性変形に対する拘束の影響等を考慮するため,各要因の組み合わせによる10種類の異なる試験体を用いた。実験結果は、荷重変形履歴曲線、材軸方向のひずみ分布、溶接部のひずみ集中、累積エネルギーなどについて比較・整理した。溶接とひずみ集中等の影響によって、高張力鋼の靱性と塑性変形能力が著しく低下する傾向が見られたが、弾性挙動を保つことを前提にしたDTSの主体構造への高張力鋼の使用性が確認できた。
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