Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
社会の高齢化が進んでいる現在、建築空間を利用する人々の年齢層は多様化しており、今後、聴空間計画において、あらゆる年齢層を想定しなければならない。しかし、音声伝達の評価は、聴力健常な者を基準として行われているのが現状である。 そこで,被験者として加齢による聴力損失を伴った高齢者を用いて,文章了解度試験を残響,騒音及び双方が同時に存在する音場において行い,健聴者による結果と比較して,加齢による聴力損失が音声の聴き取りの度合いを示す文章了解度に及ぼす影響を明らかにした。 その結果として,以下の知見が得られた。 1.騒音付加音場において健聴者と同じ文章了解度を得ようとした場合,実験条件の範囲では約5[dBA]の騒音の低減が必要である。 2.高齢者は健聴者と比較して残響の影響を大きく受け,その差は30〜40%であり,両者は比較的直線的な関係にある。 3.高齢者にとって,残響の影響が大きく現れるのは騒音レベルが63[dBA]以上になるときである。 4.残響及び騒音を付加した音場における健聴者と高齢者の文章了解度の比較全した場合,高齢者の60%を割るあたりから健聴者の了解度が100%近くから低下し初め,健聴者の了解度が40%を割ると,高齢者の了解度が20%以下となりほぼ定常的になる。 5.健聴者と高齢者の音節明瞭度の差は直線的であり,ほぼ25%の差を示していたのに対し,文章了解度は2次曲線的な相関を示しており,音節受聴における聴力損失の影響は傾向が異なることが示唆された。 6.残響と騒音が同時に存在する音場においては,残響付加音場と同様な傾向が見受けられるが,健聴者と高齢者の了解度の差が小さくなる.
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